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2009年5月1日からスイスでは牛乳生産枠(Milchquote、またはMilchkontingentierungというようです)が廃止になりました。つまり、どれだけ牛乳を生産、販売してもかまわないということです。移行期間は3年間、2012年までにはスイスの酪農家は牛乳を生産して、活発的に売るということに慣れていかなくてはなりません。
長年話題に上っていた生産枠の解除ですが、今回の結果に不満な酪農家も多いようです。というのは、全体的に過剰生産気味の牛乳、世界市場での価格低下、国内外消費者の買い渋り、・・・とマイナス要因が多いのに、生産制限を廃止すれば、過剰生産に歯止めが利かなくなり、さらに価格破壊が起きるのではないかという不安があるそうです。
平均20haの土地に14頭の乳牛、牛たちはよく肥えていて、カウベルを鳴らしながらのんびり草を食む。牛舎は清潔、かつ最上級の設備で整えられ、そこここの牛舎には増設の後が。一見して問題はなさそうですが、たいていの酪農家さんたちは副業なしではやっていけない状況だそうです・・・。来年の牛乳の配送先が決まっている酪農家はラッキーなほうで、それすらも当たり前ではなくなったとか・・・。今酪農家さんの半分は廃業の危機にあるそうです。前にドイツの酪農家の記事で似たような数字を目にしたような・・・。
現在スイスの牛乳生産者価格は、平均およそ60ラッペン(およそ40セント、日本円にして約60円)、ここNRW州の酪農家の生産者価格は下がる一方で現在およそ21セント。
これだけ見ると「なんだ、スイスは稼いでるじゃないか」、とお思いでしょうが、スイスは物価が高いのでこれでは生活補助でもないとやっていけない数字だそうです。ちなみに実際に国が所得保障を出してはいますが、農家さんの間ではそれでは不足だという声もあがっています。
現在の酪農家さんは「移行世代」と呼ばれているそうで、このままの経済危機が続いて廃業に追い込まれるか、危機を乗り越えて次の世代に牛舎を任せられるかはここ数年の政治、経済状況にかかっているといいます。
いずこも厳しい現状、なんとか打開策を見出してほしいですよね。 (M.I.)
参照記事:LZ Rheinland 28号(18-21ページ)
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