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先週ケルンのライン川付近でウォーキングを楽しんでいましたらドイツ橋(Deutzer Brücke)のフェンスにびっしり並んでいるものが目を引きました。人の名前を刻んだ大小さまざま、色とりどりの南京錠(Vorhängeschloss)です。
・・・どこかで聞いたことある話?そうですね、本や映画で見た人もいるのでしょうね。もとはイタリアはフィレンツェで20世紀後半から始まったとされる若いカップルの愛の習慣です。日本の東京などでもやっているということですから、全国規模ですね。
自分はつい今日まで全然知りませんでしたが、若者、特に10代、20代の間で結構有名な話だそうです。橋に南京錠をとりつけて、かけた鍵は「2人の愛の証」として、橋の下を流れる川に捨てます。愛が永遠に続きますようにというおまじないです。「愛錠」(Liebesschlösser)なんて呼ばれています。
去年の夏の終わりに始まって、今年3月の時点ですでに300、8月の今は1000では利かないんじゃないかというくらいびっしりと南京錠が取り付けられています。電車と通行者のしきりに南京錠にはマジックで2人のイニシャルや名前が書いてあったり、り、お店に頼んで結婚指輪のように名前と日付の彫りこみがしてあったり、愛のメッセージや詩が4cm四方の表面に書きこんであったり・・・。・・・。
今ではボンにあるラインランド地域民俗学、地域史研究所もこの現象の解明に乗り出しています。最初にこの現象が発生したのは2008年の夏の終わり、ちょうど一握りの南京錠が取り付けられていました。そこから鉄橋に取り付けられていく鍵は急速に増加、ケルンとドイツ(Deutz)の町をつなぐ鉄橋は「愛の架け橋」になりました。
さて、この「愛錠」、現時点でドイツではケルンの他にニーダーザクセン州ヒッツアッカーの橋で同じような錠前がとりつけられているのみで、「ご本家」イタリアでは"Lucchetti d'amore"(愛の南京錠)は元祖とされているフィレンツェはもちろんのこと、数々の都市で目にすることができます。
鉄橋の現在の所有者、ドイツ鉄道(DB)は、最初このロマンスに批判的でした。今年1月にはニッパーでの撤去を告知していました。しかし、抗議行動は大きく、ただでさえ客離れが危ぶまれているDBでは、イメージダウンを避けるため、「交通の安全が脅かされない限りは取り付けられたままでよい」、という決断を下しました。
愛だの恋だのが薄っぺらく感じるような世の中で、これだけたくさんの若い人たちが、永久の愛を錠前に託して誓いあうのは「とても喜ばしいことです」とある民俗学者は語ります。
ちなみに愛想のない話ですが、経済効果も期待できます。たいていのカップルがルール工業地帯の家族経営の錠前やさんで南京錠を買い求めるので地域活性化につながあるのでは、という声もあるようです。
参照記事Welt 3月1日号
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